「創作カップルであればなんでもOK」というテーマを設けた本漫画賞。ご応募いただいた作品はどれも個性的でユニークで、真剣に選考しながらも、「面白い！」「新しい！」と純粋に楽しむ気持ちがいっぱい溢れてしまいました。「創作カップル」というテーマの解釈や表現の幅は、これほどまでにあるのかと……。

そのなかでも最終選考作品は読み手を強く惹きつける何かがあり、受賞作品にはさらに高いレベルでそれが備わっていました。その“何か”は読み手によりそれぞれあるのかなと思いますが、私は一つポイントとして“再読性”を挙げます。グランプリ受賞作品の『名もない歌を聴かせてよ』は、何度読んでも感動があり発見があり、なおかつ「また読みたい！」と思わせる引力がありました。「楽器を弾く指がとても綺麗だった」「このコマとコマの流れは読んでいて気持ちがいい」、「このセリフに込められた想いは」……。

とめどなく尽きないような、湧き上がってくるような読みたい！という気持ちと、それを何度でも何度でも受け止める強さをもった作品。この二つがそろったときに高い“再読性”が生まれるのではないかと、本選考を通じて感じることができました。グランプリ作品『名もない歌を聴かせてよ』はカドコミで無料公開中ですので、ぜひ皆様も作品に触れて、この魔法のような再読性を味わっていただきたいと思います！

今回の『シルフ創作カップル漫画大賞』は、7周年を迎えたWEBコミック誌「シルフ」が開催する新しい漫画賞として、編集部としても一つのチャレンジでした。「カップルであればなんでもOK」「早期応募作品には結果発表前に講評フィードバック」という試みは、編集部の若手が中心となり企画・実現したものでしたが、いざ応募スタートしてから予想以上に多くの作品にエントリーいただき、最終応募数は92作品となりました。作品を応募いただいた皆様、本漫画賞にご注目いただいた皆様、プロモーションにご協力いただいた皆様、そしてシルフ及びシルフコミックスのファンの皆様に感謝を申し上げたいと思います。この度は誠にありがとうございました。